南極風 / 笹本稜平

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★★★<5段階評価>


ニュージランドの名峰・アスパイアリングで山岳ガイドをしている森尾は、ツアー登山のガイド中に予期せぬ落石事故と嵐に遭遇してしまう。
ガイド仲間と客の数人が死傷する危機的状況のなか、森尾は自身の命を危険に晒しながらもメンバーの半数を生還させる。
地元ニュージランドでは英雄と讃えられた森尾だったが、日本に帰国後、保険金詐欺と未必の殺人の容疑で逮捕されてしまう。


山での遭難という自然の脅威との戦いと、冤罪を晴らすための司法との戦い。
二種類の緊迫感が交互に描かれているので、相乗効果で深みが増して読み応えがある。

遭難のシーンは終盤でちょっとまどろっこしくも感じるけど、山好きなら臨場感を楽しめると思う。
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# by wakabadana | 2017-06-20 21:51 | 笹本稜平 | Trackback | Comments(0)

女房逃ゲレバ猫マデモ / 喜多條忠

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★★★<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
女房が出て行った。
二人の子供を残して。
預金通帳の残金は二万円。
作詞家の「俺」の子育ての日々が始まる。
詞を書き、酒を飲み、女と遊び…そんな十六ビートの生活はしばしお休み。
弁当を作り、子供の送り迎えをし、猫の「ポン太」に人生相談をする、ゆったりとしたワルツの暮らし。
だが、いつまで続くものやら。
「神田川」の作詞家が哀切と可笑しみを込めて描く、愛おしさ満点の傑作家族小説。
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女にだらしない作詞家が主人公なんだけど、喜多條さんの自叙伝なのかなぁ。

主人公の男の現在と過去が交錯する形で描かれている。
男の波乱万丈な人生と、いい加減なんだけどどこか憎めないキャラクターと、飼い猫のポン太の存在が相まって、愉快なんだけどちょっと切ない、絶妙なテイストの物語。
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# by wakabadana | 2017-06-11 21:31 | 喜多條忠 | Trackback | Comments(0)

しんせかい / 山下 澄人

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<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。
辿り着いた先の“谷”では、俳優や脚本家志望の若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。
苛酷な肉体労働、“先生”との軋轢、地元の女性と同期の間で揺れ動く感情―。
思い出すことの痛みと向き合い書かれた表題作のほか、入塾試験前夜の不穏な内面を映し出す短篇を収録。
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あまりにも淡々としていて面白さがわからなかった。
文体も苦手でちょっと読みにくいと感じた。
私には合わない作品だった。
芥川賞作品はやっぱりあまり好みじゃない。
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# by wakabadana | 2017-05-25 20:26 | 山下 澄人 | Trackback | Comments(0)

ふくろう / 梶よう子

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★★<5段階評価>


痛快な江戸っ子ものが好きなんだけど、これは職場でのイジメの話でちょっと鬱々となった。
梶さんの作品ってもっと爽快なイメージだったから意外だった。

江戸時代とイジメってなんだか結びつかない感じが最初はしたけど、たかだか200年で人間の本質が変わるわけはないし、現代と似たようなものだったんだろうな。
そもそも、サルからヒトになったその頃から、人の本質なんか何も変わってないんじゃないかと思うし。
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# by wakabadana | 2017-05-19 22:44 | 梶よう子 | Trackback | Comments(0)

大友二階崩れ / 高橋 直樹

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★★★<5段階評価>


図書館で見つけて、そういえば大分県民なのに大友宗麟についてほとんど何も知らないなぁと思い読んでみた。

三篇の物語が収録された短編集だったので少し物足りなかったけど、「二階崩れの変」という跡目争いの内紛があったことなど全然知らなかったので勉強になった。
大友宗麟といえば当時は九州を代表する大名の一人だったので、そりゃ、このくらいの血生臭い出来事はあっただろうな。

俄然、興味が湧いてきた。
もっと生涯を描いた物語を読んでみたい。
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# by wakabadana | 2017-05-18 14:04 | 高橋 直樹 | Trackback | Comments(0)

よるのばけもの / 住野 よる

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★★★★<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
夜になると、僕は化け物になる。
寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。
ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。
誰もいない、と思っていた夜の教室。
だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて――。
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本当のバケモノとは誰なのか。
いじめられている特異な少女なのか、イジメの中心人物たちなのか、それを見て見ぬふりするクラスメイトたちなのか。
学校という閉ざされたコミュニティの中で生き抜かなければならない思春期の少年少女たちの苦悩が、痛いほど伝わってくる作品。
ただ、イジメが題材ではあるけど、苦しいだけではなく一筋の光明みたいなものも感じる、いい物語。
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# by wakabadana | 2017-05-13 23:18 | 住野よる | Trackback | Comments(0)

墨龍賦(ぼくりゅうふ) / 葉室 麟

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★★★★<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
武人の魂を持ち続けた絵師海北友松。
浅井家滅亡、斎藤利三との友情、本能寺の変…。
建仁寺の「雲龍図」で名を馳せた桃山時代最後の巨匠の生涯を描く歴史長編。
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海北友松という絵師の生涯と、彼の目から見た戦国の動乱が描かれている。
戦国ものはいくつも読んできたけど、絵師の目線というひと味違ったアプローチが私には面白かった。

絵師とか浮世絵師といった人たちの物語もいくつか読んだけど、己の技術一本で生きていこうとする人の生き様はカッコイイし羨望の感情に駆られる。
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# by wakabadana | 2017-05-08 14:11 | 葉室 麟 | Trackback | Comments(0)

頂きへ、そしてその先へ / 竹内 洋岳

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<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
頂上はゴールではない!あらゆる挑戦は「好き」から始まる。
ルールもない、勝ち負けもないスポーツに挑むプロ登山家がおくる考えるヒント集。
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一遍が短めの、コラム集のような作品。

竹内さんのしている凄まじい冒険の具体的なエピソードはほとんど書かれていない。
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# by wakabadana | 2017-04-30 21:16 | ★登山関連書 | Trackback | Comments(0)

 i / 西加奈子

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★★★★★<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
「この世界にアイは存在しません。」
入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出した。
ワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは―。
「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!
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『サラバ!』を読んだときにも強く感じたんだけど、西さんが紡いだ言葉には心の奥の奥が激しく揺さぶられる。
波長が合うと言えばいいのか、感性が共鳴するような感覚に陥る。
特定の周波数にグラスが共鳴するとパリンと割れるように、西さんの放つ言葉に私の心が共鳴して、自分で制御できないほど震える。
悲しいとか切ないとか感動したとか、そういうのではなく、また、あの場面・あの描写・あのセリフに感銘を受けたとかいうのでもなく、なんとも言葉にできない感覚に支配される。
胸の奥の方に隠れていて自分でも気づいていなかった部分(それが、過去に受けた傷なのか感動スイッチなのか、悲しいのかそうじゃないのかもよくわからない)をピンポイントで突かれるよう。
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# by wakabadana | 2017-04-24 23:00 | 西加奈子 | Trackback | Comments(0)

許されようとは思いません / 芦沢 央

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★★<5段階評価>


作品紹介(Amazonより)--------------------------
かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。
祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。
彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を、あえて手にかけたのか……。
日本推理作家協会賞短編部門ノミネートの表題作ほか、悲劇をひき起こさざるを得なかった女たちを端整な筆致と鮮やかなレトリックで描き出す全五篇。
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周囲の悪意や環境や自分の思い込みによって、じわじわと追い詰められてしまう人々を描いた短編集。

主人公たちを取り巻く理不尽さと彼らが切羽詰まっていく様子は、読んでいていたたまれない気持ちになる。
読後感はけっして気持ちよくない。
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# by wakabadana | 2017-04-20 22:55 | 芦沢 央 | Trackback | Comments(0)